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【医療者の声】治療を受けている子どもと家族の味方を増やしたい

子どもの病気に関わる医療者の皆様の声をお届けします。今回ご寄稿いただいたのは、神奈川県立こども医療センターで小児看護専門看護師として長年子どもと家族に寄り添ってこられた竹之内直子さん。イベントの開催やセミナーでのご講演など、小児がんの啓発活動にも精力的に取り組んでいらっしゃいます。

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小児がん相談支援室とは

私は、2013年に小児がん拠点病院の指定後に設立された小児がん相談支援室で、小児がん相談員として、多くの小児がんの子どもやそのご家族に関わらせていただいています。小児がんの子どもやきょうだいを含めた家族が必要としている支援を提供することや、院内のみならず院外をも対象とした患者やご家族の他、その支援に関わる方々からのご相談に対応することがその主な役割です。

遠方から転院してこられる家族に安心と笑顔を

お子様の病気の状況や拠点病院であるという特徴も加わり、当院で治療を受けるために遠方から転院してこられるご家族もおられます。その期間の長さに関わらず、知らない土地で生活をすることになるご家族にとっては、子どもの病気や治療に加えて多くの心配が伴うと思われます。また現実的な問題として、経済的なご負担への懸念も生じます。そんなご家族を、どんなに到着時間が遅くなっても、リラのいえの施設長である佐伯さんが出迎えてくれ、不安が和らいだこと、またその後の療養生活に向き合うための生活の場として「本当にリラのいえがあってよかった」と施設のみならず、関わるたくさんの温かなスタッフの方々への思いを聞かせていただくことも多くあります。

また、きょうだいの預け先について悩んでいた家族からは、ごきょうだいが楽しそうに過ごしていることに安心して、結果「きょうだいのケアまでしてもらっている気がする」ときょうだい児保育への感謝を聞くこともあります。そして、外泊の際にリラのいえを宿泊場所とする患者本人は「今日はりらのいえに行くんだ~、早くいきたいな」と笑顔をみせてくれます。

まだまだ書ききれないくらいのエピソードがありますが、このように、小児がんの子どもやきょうだいを含めた家族にとって、たくさんの安心と笑顔を提供くださっているのがスマイルオブキッズさんだと思います。

治療を受けている子どもと家族の味方を増やしたい

私が、相談員として主にご家族と関わりながら感じていることは、治療を受けている子どもの親として、ご両親は常に「子どものために」を想い、必死で色々なことに対処していらっしゃるということです。「親として当然のこと」と思っている親御さんもいるかもしれませんが、当たり前のことではないですし簡単なことでもありません。どんな思いで、どんな希望を持ちながら今に向き合っているのだろう・・と思いながら、時にはその内容を共有させていただくこともありますが、いつも感じるのは、ご家族がどんな状況においても、少しでも多くの味方をつけていければよいな~ということです。

小児がんの診断を受けた子どものご家族から我が子の病気や状況を周囲にどう伝えたらよいのか、という相談を受けることもしばしばあります。「噂になってしまうのではないか」「そのことが知られたら、子どもが嫌な思いをするのではないか、など色々な理由がありますが、そこには、その状況で味方になってくれる人の想像がつかない不確かさもあるのではないかと思います。もちろん、社会の理解がまだ十分でないことも影響しているかもしれません。

また、初めて経験する子どもの病気や障がいの状況に対して、周囲からサポートを受けること自体に慣れていらっしゃらないご家族もいらっしゃることも実感します。子どもや家族は何も悪いことをしていないのに、周囲に遠慮をしたり、申し訳ない気持ちを抱いていることもあります。相談することに関しても、「こんなことで相談してもいいのかな」「忙しいのに申し訳ない」と話される方も少なくありません。「人に頼ってもいいんですよ」「味方を増やしていきましょう」とご家族にお話をすることも多いのですが、その強い味方の一つがスマイルオブキッズさんであると思います。

スマイルオブキッズに共感しているところ

「未来ある子ども達がその胸に夢と希望がもてるような環境を整えること」を努めとし、「困難を抱える子どもと家族のことを、他人事としてとらえるのではなく、誰もが当たり前に支える手を伸ばす事ができるように」という考えのスマイルオブキッズさんの理念である「愛する子どもたちのために」、地域社会に発信しながら、そして巻き込みながら、「リラのいえ」や「きょうだい児保育」などを通して、子どもや家族の強い味方になってくれています。そして、私たち医療者にはできない支援をたくさんしてくださっています。

医療についてはもちろん責任がありますので、医療者にしかできないことがあるかもしれません。しかし、スマイルオブキッズさんだからこそできる支援もたくさんあります。設立者でもある初代理事長、田川さんの願いでもある「より豊かな毎日を過ごせるように」は、子どもやそのご家族がどんな時であってもそうであるようにという私たち医療者の願いでもあります。

病気や障がいをもつ子どもや家族の支援を考える時、忘れてはならないのは、常に主人公はその子どもやご家族であるということです。子どもや家族の願いは何か、彼らが実感する質の高い生活とは何かを常に考えながら、支援の輪が広がるよう、強い味方であるスマイルオブキッズさんと共に、家族の安心、そして子どもの笑顔がたくさん見られるように、これからも味方であり続けたいと思います。

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