スマイルオブキッズの「愛する子ども達おうえん団」の一員として、継続的にご寄付を続けてくださっている県内にお住いのNさん。現在5歳になる息子さんが神奈川県立こども医療センターで心臓の手術をするときに、「リラのいえ」を利用、スタッフのさりげなく温かい対応に励まされたことをきっかけに、スマイルオブキッズの活動に共感してくださるようになりました。
ーーー どんなきっかけでスマイルオブキッズを知りましたか?
今、5歳の長男は、出生後の検査で心臓に小さな穴が空いていることがわかりました。自然に穴がふさがる場合もあるので経過観察をしていたのですが、「やはり手術をした方がいいでしょう」ということになり、神奈川県立こども医療センターを紹介されました。年子の弟がいることもあって、長男の入院、手術を家族でどう乗り越えていこうかと話をするなか、こども医療センターのホームページに「リラのいえ」のリンクを見つけました。その後、入院前の検診のときに実際に「リラのいえ」を訪ねて話を聞かせていただきました。
ーーー 実際に「リラのいえ」を訪ねてどんなことを感じましたか?
「リラのいえ」のホームページを見たときにぜひ利用したいと思っていました。でも、私たちは神奈川県に住んでいるのでこども医療センターに通おうと思えば通えますし、車で行ける距離に妻の実家がありましたから、日本全国の遠くのかたを優先すべきではないかと、利用するのにちょっと遠慮があったんです。
そのことをスタッフのかたに話したら、「気軽に使っていいんですよ」と言ってくださり、「頼ってもいいんだ」と思ったことを覚えています。
ーーー 実際に「リラのいえ」をどのくらいの期間利用していましたか?
入院前、退院後、それぞれ数回検診があったのですが、そのときは当時1歳半だった次男がきょうだい児保育でお世話になりました。また、長男の入院中は、私が「リラのいえ」に泊まり、妻は車で通っていたのですが、そのときもたまに次男をきょうだい児保育で預かっていただくことがありました。
ーーー 「リラのいえ」を利用したことで、身体的、精神的な負担は軽減されましたか?
身体的なことでいえば、「リラのいえ」から病院は歩いて行けますから、自宅から通うのと1時間は違います。その時間を自分の休息に当てられたことで、長男と全力で向き合えた気がします。基本的には、私が入院する長男のケア、妻は次男の育児という分担でしたが、リラのいえを利用したことで、役割を交換することもできて、家族間のコミュニケーションに集中できたのもありがたかったですね。
「リラのいえ」のスタッフの皆さんは、積極的に声をかけるというよりは、気持ちよく挨拶をしてくださるなど、程よい距離感をもってそっと寄り添ってくださっているといった感じでしょうか。家族以外にも頼れる人がいると思えたことは、精神的支えになっていたと思います。
実は緊急手術が入ったことで、長男の手術が1日延びたんです。そうなったことで緊張も二日続きました。そんなとき、花壇の手入れをされているスタッフのかたと天気や他愛もない日常の話をちょっとするだけで、ずいぶん気持ちが楽になりました。
他の利用者さんとは密にコミュニケーションをとっていたわけではありませんが、みんな同じように子どものために頑張っていると思うととても励みになりましたね。
ーーー きょうだい児保育を利用された感想をお聞かせください。
当時、次男はまだ幼稚園には通っていませんでしたから、きょうだい児保育は親子が離れる初めての経験でした。初回はだいぶ泣いちゃったみたいですが、それ以降は馴染んでいたようです。保育日誌にはいろいろな面を引き出してくださって次男がのびのびと過ごしていた様子が書かれていて、妻がとても感激していました。
私たちが一緒にいてあげられないから利用しているのではなくて、新しい体験をさせてあげているとプラスにとらえられるような丁寧なきょうだい児保育をされているんですね。
「リラのいえ」の会報誌にも書いてありますが、どうしても病気を抱えたり入院したりしている子どもに親の意識は向きがちですが、他のきょうだいにも気持ちを向けてあげるという考え方にとても共感できます。そういった意味でも、「リラのいえ」のきょうだい児保育はとても素晴らしいと思っています。
きっかけは長男の病気でしたが、それだけではない家族の気付きがありました。
ーーー どのようなきっかけで「スマイルオブキッズ」を支援してくださるようになったのでしょう?
私たち家族は、「リラのいえ」でとても良くしていただいたので、自分たちにできることがあれば、例えば、リラのいえで飲んでいたお茶も支援で成り立っていると聞き、「次に利用するかたがほっとできるようなことができたらいいね」と妻と話していました。
まだ子どもが5歳と3歳と小さかったり、距離の問題があったりするので、今はサポーターとして「資金」という形で関わらせていただいています。子どもたちは今でも「リラのいえ」のことを覚えているようなので、彼らがもう少し大きくなったら「リラのいえ」のイベントに一緒に参加できたらいいねと言っています。
ーーー 将来、Nさんが「リラのいえ」に直接に関わるようなことがあったときに、こんなことをしたいなど思われていることはありますか?
妻は保育士、幼稚園の先生をやっていたので、きょうだい児保育など子どもたちが喜ぶお手伝いができたらいいなと言っています。
「リラのいえ」のような事業で一番難しいのはきっと長く続けることですよね。今、スタッフの方が日常的に務められていることは、実はなかなか当たり前にできないことばかりなんですよね。だから、スタッフの皆さんが無理なく長く続けられるような体制を整えることが必要だと思います。
また少し極端にいえば、まずは「リラのいえ」を知ってもらうための動機付けが必要なのかもしれません。コンサートなどはそれに近いかもしれませんね。「リラのいえ」が地域の人が気軽に遊びに来られて交流できる場所になってもいいのかもしれません。
ーーー いろいろな人にまずは知ってもらうことが大切だということですね。
世の中の多くの人は、「リラのいえ」や「こどもホスピス」を特別な場所と感じているのではないでしょうか。病気を抱えている家族の場所だけではなくて、近隣のかたがお花を楽しむ場所であり、子どもを好きな人が触れ合える場所でもある。また、独居の方が増えるなか、話し相手が見つかる場所であることなど、さまざまな人が誰かのためだけではなく自分のためにも自然と足が運ぶ場所、そうしたウインウインとなる関わりが成立すればいいのではないかと思っています。そうなっていけば、もっと輪が広がって行くと思います。
とはいえ、私が「スマイルオブキッズ」や「リラのいえ」に期待していることの多くは実現されています。新型コロナ感染症の影響もありますが、スタッフの皆さんには、これからも今の良さを忘れず、無理なく続けていっていただけたらうれしいです。