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利用者の声リラのいえ

【利用者の声】福井さま

つむぎとリラのいえが教えてくれたこと

娘の紡木(つむぎ)がNICUを退院してちょうど1年の日に書かせていただいています。

この日は、2か月近くお世話になったリラのいえから自宅に帰った日でもあります。

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                   2020年元旦、自宅での笑顔


今までは障害のある子を授かることは辛くて、健康な子を授かることは幸せなことだと頭の片隅で思っていました。赤ちゃんを授かり6か月目に18トリソミーであることがわかり、さらに重い心臓疾患や開放性脊椎髄膜瘤を合併しており、限られた時間を過ごすことになるかもしれないと言われた時は心底ショックでした。病気・障害のある赤ちゃんを授かるということもショックでしたが、それだけではなく自分の生活が大きく変わること(仕事など)への不安も同時に抱いていました。娘のことは愛おしい存在であっても「ただただかわいい存在」とは違っていました。色々な気持ちが混ざっている中で、産科の担当してくださった先生よりエコー診察の際に「かわいいねー」と言われたときの驚きは今でも覚えています。でも、先生のあの言葉のおかげで「障害はあるけどかわいいって思ってもいいんだな」「仕事への不安とか拭い去れたわけではないけど、まあ何とかなるかな」そして純粋に「赤ちゃんに会いたいな」「一緒に過ごしたいな」そんな思いを抱くことができたように思います。

 

そして、その先生から紹介していただいたリラのいえでは、いろいろなお子さんやご家族と出会いました。他院で出産された後に転院した赤ちゃんのお母さん、外国籍の妊婦さん(その後出産されてお母さんになられていました)、遠い他県から治療のために滞在されているご家族、障害のあるお子さんとそのご家族。きっと、こども医療センターで出産していなければ出会えなかった人たちです。そして、そういったご家族やサポートくださっているスタッフさんと生活を共にしていく中で、口には出さなくても不安な気持ちをシェアしてくださったり、娘の誕生を一緒に喜んでくださったり、とても心強く感じていました。

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                   NICUで、はじめて手形足形を取りました


リラのいえの設備はとても素晴らしく、普段の生活と変わらない暮らしを送ることができます。費用も滞在者に負担にならないような金額で、本当にありがたい限りでした。紡木が生まれた後は、平日は午前中から夕方まで病院で紡木と過ごし、そして、近所のスーパーで買い物をした後、リラのいえに戻り夕飯の支度をして、主人が帰宅後に一緒に夕飯をとり、その後また病院へ行く。主人は早朝に病院へ寄って紡木との時間を過ごしてから仕事へ行く。こんなごく日常に近い生活を紡木が退院するまでの約1か月間、続けることができました。遠方に住んでいる私たちは、自宅から通っていたら、紡木に会う時間は限られていたでしょうし、平日仕事がある主人は紡木との時間がもっと少なかったでしょう。限られているかもしれない紡木との日々を1日1日大切に刻んでいくことができたのは、リラのいえがあったからこそです。そして、それを支えてくださっているのは、ボランティアの方々や寄付をしてくださっている個人や法人の皆さんです。リラのいえのスタッフの方々は、日々の施設メンテナンスに加えて、滞在者が少しでも子どもたちと一緒に過ごせるように、洗濯物を取り込んでおいてくださったり様々なサポートをしてくださっています。また、滞在中にもスタッフさんがミーティングをされたり、企業の方々が寄付物資を持ってこられたりする姿を見て、他人のことなのにこんなに一所懸命支えてくれている、こんな温かい世界があるんだと気付かせていただきました。

 

紡木は自宅に帰ったあと、地元の訪問看護師さんや保健師さんに支えられ、とても穏やかな生活を約2か月を過ごし、2020年の2月に旅立っていきました。紡木は天に行き会うことは叶いませんが、紡いでくれたご縁を通じて娘を日々感じています。

出生前診断を受けた時に産む決断が出来たこと、リラのいえやこども医療センターに出会えてかけがえのない時間を過ごせたことは私たちのたからものです。

会報への掲載について

会報23号(2019年12月発行)に、リラのいえ滞在中の福井様の声の掲載がございます。下記よりお読みいただけます。
会報23号

 

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