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イベントきょうだい児保育pickup

<レポート>第4回 病気や障害のある子どもの「きょうだい児支援」シンポジウムを開催いたしました

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家族支援の中で見逃してはいけない「きょうだい児」
  必要とされる人・場・制度とは?

2022年10月1日(土) オンライン開催 

配信拠点:患者・家族滞在施設「リラのいえ」
   当日参加者数:154名  申込者数:247名  *アーカイブ視聴あり

・かながわボランタリー活動推進基金21ボランタリー活動補助金対象事業

2019年から継続開催しているシンポジウム、今年で4回目となりました。基調講演では、学齢期のきょうだい児支援について詳しく教えていただきました。パネルディスカッションでは「いつでもどこでも仲間とめぐり合えるように」をテーマとして、登壇者の皆様からお話をいただきました。司会は、全国障害者とともに歩む兄弟姉妹の会(略称:全国きょうだいの会)副会長の藤木和子様にお願い致しました。

シンポジウムの内容を要約してレポートします。

第一部:基調講演「学齢期のきょうだい支援の必要性とその支援」

◆成蹊大学特別研究員/きょうだい会SHAMS代表 滝島真優様

学齢期のきょうだいの支援のあり方について研究をされています。双子の弟さんに自閉症があるというきょうだいの立場で、経験を踏まえて立ち上げたきょうだい会のお話もしていただきました。

第一部:基調講演「学齢期のきょうだい支援の必要性とその支援」

1.“きょうだい” とは

「きょうだい」とは、慢性疾患や障害のある人の兄弟姉妹のこと。様々な家庭内役割を担いやすく、そのことが心理的、社会的な影響に発展する場合がある。最近では、児童福祉や障害福祉の分野で支援の必要性が認められている。

小児慢性特定疾病児童等自立支援事業、放課後等デイサービスのガイドライン、医療的なケアを必要とする子どもとそのご家族に関する法律などにも、家族全体を支えて、特にきょうだいの課題を把握し支援することが大切と示されている。

現在、社会的周知が進んでいる「ヤングケアラー」の定義にはきょうだい児も含まれる。厚生労働省と文部科学省がプロジェクトチームを作り、ヤングケアラーという側面からもきょうだいが支援対象になったことは大きな変化だと思う。2020年、2021年に国が行ったヤングケアラーの実態調査から試算すると、100人中0. 3人~1人位の割合できょうだい児が存在していると考えられるが、「家族の中にあなたがお世話をしている人はいますか」「病気や障害のあるきょうだいをケアしているか」という問いの結果であり、「病気や障害のあるきょうだいはいるがケアはしていない」と回答したきょうだいがいる可能性を含めると、実態はもう少し多いのではないかという印象を持っている。

 

2.きょうだい支援の必要性と支援の観点

きょうだいには特有の悩みがあることが明らかになっている。

病気や障害のある兄弟姉妹のことについて、周囲との違いを感じたりからかわれたりした時に感じる恥ずかしさ、家族の中や社会の中で感じる孤独感、病気や障害のある兄弟姉妹よりも自分の能力が勝ってしまうことや自分の幸せを追求することへの罪悪感、病気や障害のある兄弟姉妹が過度に甘やかされ、保護されることでの憤り・恨みなど。こうした気持ちを抱くということは当たり前のことと認めること、サポートを親のみに求めるのではなく支援者が家族全体を包括的に支える視点を持ち、きょうだい特有の悩みを軽減することが必要である。

また、親の代わりにケアを任って介護負担が増える場合もあるが、自分の役割と理解し力を発揮しているきょうだいもいる。そうした気持ちを否定せず大切にした上で、発達段階を考慮し責任が偏り過ぎないようにサポートすることが大切だと思う。

さらに、親が高齢になった時や亡くなった後など、将来への不安も感じている。正確な情報の提供や、将来の生活について家族全体で話し合うこと、そのためのサポートが必要と感じている。

きょうだいを支える上での観点として、きょうだいとしての経験が成長に繋がる側面もあることにも触れたい。自分もきょうだいとして大変なこともたくさんあったが、少なからず自分自身の成長に繋がっているのかもしれないと知れた時に救われた。

 

3.学齢期のきょうだい児の実態

・学校教員による認識から

学校教育現場におけるきょうだい児への支援に関する基礎的な研究に取り組み、2019年に小・中・高の教員に協力を得て調査を行った。

ヤングケアラーの調査と比較すると、きょうだい児は感情面のサポートを多く担っていることがわかった。障害のある兄弟姉妹を励ましたり見守ったり、親をねぎらったり。このようなサポートは可視化することが難しい。また、学校生活への影響は特にないという回答が6割だが、きょうだいは他者に配慮して行動する傾向が高いため、表面的な適応の良さから支援の必要性が現れにくく、予防的な支援が必要になると思う。

一方で、家庭内で複数のケア役割を担う場合、影響が多岐にわたるという回答もあった。ヤングケアラーとしての側面も理解した上で、家族全体への福祉的なアプローチが必要になる。

 

・学齢期のきょうだい児の困り感(きょうだい会SHAMS活動アンケートから)

小学校2年生頃から、病気や障害のある兄弟姉妹の行動上の疑問や、どう関わったら良いのかといった疑問が生じ始める。

小学校5年生以降は、社会的な影響や友人関係の悩みがはっきりと言語化され、中高生になると自分の置かれた状況を客観的に理解し、自分自身の障害観のようなものと向き合うような記載も出てきている。

 

・調査やアンケートを踏まえて考えられる必要な支援

小学生では、まだ年齢的にも自分で必要とする情報を得ることが難しいことから、きょうだい児が知りたいと思う情報を年齢に応じて提供することが必要。きょうだい児にかかわる大人が、どのような気持ちも受け止めることや、同じ立場のきょうだいとの出会いの場につなぐことなどを通じて、孤立感の軽減にも繋がるのではないかと思う。

中高生になると、病気や障害のあるきょうだいとともに生活する中で受ける学習面や精神面などの直接的な影響を自覚しやすくなり、現実との葛藤を抱えたり、自分の価値を感じにくくなったりすることが少なくない。そのため、自宅などで安心して自分のペースを保って生活できるパーソナルスペースを確保したり、自分のことを守りいたわる方法を知ったり、孤立感を軽減することなどへの配慮も大切な支援になると思う。

 

4.学齢期のきょうだい児支援の実際

「きょうだい会SHAMS」について

活動開始:2008年

活動拠点:栃木県宇都宮市

対象:小学生から高校生までのきょうだい児

名前の由来:「SHAring Mind of Siblings」の略(きょうだいの“立場”“思い”を分かち合おう)

 

シブショップ(きょうだい児の心理・社会的な影響を予防的に対応するためにアメリカで開発されたきょうだい支援の手法)の認定を受けて活動している。ボランティアとして大人になったきょうだいも参加している。

活動目的は、自分と同じ立場のきょうだいと出会うこと、きょうだいとしての思いを分かち合うこと、日常の悩みや不安などを軽減すること、普段経験できないことを経験すること。

きょうだいとしての立場や思いの共有を大事にしている。ワークブックを使って、普段困っていることやその対応を共有する、紐を使って感情表現ができるアクティビティを実施するなど。コロナ禍ではオンラインで他団体とも交流している。全国に仲間がいることを知り救われたという声もある。

アンケートでは、活動の感想のほかに自分の悩みを伝えられる欄を設けている。質問への回答を会報「しぇいむず新聞」で共有するなど、「話す」という手段はエネルギーも必要で、気持ちを言語化することが難しい年代でもあるため、安心して思いが伝えられる手段を多様に設けるように心がけている。

 

まとめ

きょうだいは兄弟姉妹の病気や障害、兄弟姉妹とのかかわり方、兄弟姉妹の将来について情報を欲している。家庭・学校・社会、それぞれの立場で年齢に応じた情報提供をどのようにできるかを考えていきたい。きょうだい達の自尊心を守るため、家庭内で特別な役割を担わなくても、ただその存在に価値があるのだと思えるようにできることも併せて考えたい。最後に、きょうだいは、家庭内、そして社会の無理解によって孤立しやすいことがわかっている。きょうだいを孤立させない眼差しや社会の疾患や障害の理解、そして、仲間との出会いの機会を提供することなど、我々ができることをみなさまとともに考えていきたい。

問題を抱えているきょうだい達は見えにくく、だからこそ、予防的な観点を持った関わり合いが必要になると思う。一人ひとりの理解や温かい眼差しが、大人になった時のきょうだい達の支えに繋がるはず。

第二部:パネルディスカッション「いつでもどこでも仲間にめぐり会えるように」

沖様、三平様からの活動ご紹介の後、滝島様にもパネリストとして参加いただき、これから団体を立ち上げたいと思っている方へのアドバイスや、支援のあり方についてお話をいただきました。



◆静岡きょうだい会代表 沖侑香里様

第二部:パネルディスカッション「いつでもどこでも仲間にめぐり会えるように」

静岡きょうだい会について

2018年に設立した任意団体。自身もきょうだいの立場で、社会の中できょうだいへの理解が広がってほしいと思い立ち上げた。静岡県富士市を拠点に、きょうだいのための場作りや、啓発活動として講演会やメディアでの発信を行っている。

 

大学生の時にテレビできょうだい支援のことが特集されていて衝撃が走った。子どもの頃から抱えていたきょうだいとしての思いや悩みの根本的な原因がわかって、世界が広がったような気持ちにもなった。

20代半ばで母を亡くして地元に戻り、妹の保護者として関わることになった時、地元静岡でもきょうだいへのまなざしや支援が、圧倒的に足りていないと感じた。

まずはきょうだいの理解者を増やそうと、親の会で講演会を複数回してきょうだいとも繋がり、会を設立した。

 

現在はオンラインで開催し、全国から参加がある。参加に至る経緯としては大きく分けて、同じ立場の人がどんなふうに考えているのか知りたいということと、具体的な悩みがあって解決のヒントを得たいということの二つがある。

子ども時代に感じていたことなど、これまで話せなかった部分をお互いに新鮮な気持ちで共有する。また、自身の行動や思考のクセ(子どものころから我慢するのが当たり前で、自分の意見を言えない、人の顔色をうかがい過ぎて疲れてしまう)についての悩みやその対処法、実家との関係性、親なき後・自分亡き後など将来のことを話し合うこともある。

頻度は少ないが、講師を招いて福祉サービスや親亡き後の具体的な事例などの勉強会も開催している。

活動を続けていくと、常連の参加者とバーベキューやもつ煮会をするようになった。ここ数年はコロナ禍で対面での活動ができていないが、企画はあって早く実現したいと思っている。

 

参加された方からは、悩んでいるのは自分だけではない、人に話してもいいのだと思えたといった感想がある。

毎回参加しなくても、気兼ねなく家族の話ができる場、気が向いた時、困った時に行ける場として存在してくれていることが嬉しい。ホームページが更新されているだけでも嬉しいという声も寄せられている。

声を聞くと、きょうだい会を立ち上げてよかったと思う。同時に、きょうだい会でなくても、子どもの頃からこういったことを感じられる場や人との出会いが増えていくといいなとも思う。

 

「いつでもどこでも仲間にめぐり会えるように」という観点から

・昨年から、東海北陸地方の4団体でネットワークを作って、コラボ企画を開催している。他団体の雰囲気も知れて、より多くのきょうだいと接することができて嬉しいという声がある。また、打ち合わせの段階で、運営者同士の相談会のような場にもなっていて心強い。

・保護者、支援者の方と繋がる機会として、講演会や研修会でお話をしている。
近年はヤングケアラーへの注目の高まりも相まって、より様々な立場の方と対話できるようになり、保護者や支援職の方も困っているというところが見えてきた。

「きょうだいに我慢させてしまっているということは気づいていたけれども、こんなにも悩んでいること、これからぶち当たる壁があることは盲点だった。」「支援現場で気づいてはいるけれど、業務の中で関われる範囲に限界があって心苦しい思いがある。」

そんな声を何とかしたいと思い、会の一周年記念イベントで様々な立場の方を招いてトークディスカッションを行った。シブリングサポーター研修ワークショップ(NPO法人しぶたね共催)もオンライン開催した。

きょうだい、保護者、支援職の方がそれぞれ見えている世界について話すだけでも、救われた気持ちになる方がいたり、親子では冷静に話せないけれども、こういう場だと冷静に話せるという良い点も見えてきた。

・きょうだいのために何ができるのかをまとめると、大きく四つあると思っている。

①きょうだいが安心して過ごせるための仕組み作り
②きょうだいの視点を取り入れた家族支援
③社会に向けたきょうだいの啓発活動
④地道に活動しているきょうだい支援団体や支援事業への援助

きょうだい児支援は、きょうだいの直接的な関わりだけではないと思う。本日も色々な立場の方が参加されているが、それぞれ何ができるのかをチームとして話し合って、実践する場がもっと増えていき、そのことが制度や支援に繋がり、地域に根ざした活動として広がっていくことを切に願っている。

◆医療法人社団すこやかおやこ理事長  三平元様

きょうだい支援への思い

千葉県でクリニックを開いている小児科医で、「難病の子ども支援全国ネットワーク」に所属しているほか、「日本きょうだい福祉協議会」という団体設立のための発起人をしている。

医師となって2年目に、勤務していた病院の企画で、医療的ケア児のいる家族が集まる年1回の恒例宿泊行事に参加した。帰る日の夕方、きょうだい達が泣き出してしまった。「もっといたい、1年前からずっと楽しみにしていた」と聞いて、どうしてよいか分からなくなってしまった。それがきょうだいとの出会いだった。

クリニック入口の持ち帰り自由のおしらせ資料コーナーにNPO法人しぶたねさんが作成した「きょうだいさんのための本」を積み重ねて置いているが、すぐになくなってしまう。病気とか障害とか関係なく、子どもが2人いればきょうだい関係があり、それぞれに悩みが発生するのかなと気づいた。そんなことも踏まえて、自身はきょうだいの立場でもなく、直接きょうだい支援活動もしていないが、何ができるのかということを常日頃考えている。

 

「いつでもどこでも仲間にめぐり会えるように」というテーマについて

・「いつでも」

いつでも仲間にめぐりあえる手段として、SNSの利用が思いあたる。色々な情報が取れて、きょうだいの手記などで自分と似た境遇の方がいると知ることができる。ただし、スマホやパソコンを持ってない人には届かない。SNSやネット検索で情報にたどり着けることを知っているかどうかというところで、情報の弱者の方にとってはまだ不利な世の中だと思う。

 

・「どこでも」

厚生労働省の研究で、令和3年に「きょうだい児支援取り組み事例集」をまとめた。編集作業の中で、「全国障害者とともに歩む兄弟姉妹の会」が寄せてくださった文章がとても印象に残った。

「子どもたちが自分の自己選択・自己決定のもとに自分のお小遣いの中で、参加費を支払い参加できるためには、行きたいと思うときに自分で行ける範囲の地域でなければならないことを考えると、『自転車で行ける範囲においての中で、このような活動が定期的に行われることが必要』だと考えます。」

これを実現するためには、今後どれだけ色々なものを揃えなければいけないのだろうかと愕然とした。

仮に47都道府県に一つそういう活動があったとしても、とてもじゃないけれど自転車ではいけない。小学生は歩いて行くことが多いから、小学校の単位ぐらいあればいいのかなと思うと、全国の公立小学校の数で約1万9000。それは難しいということで範囲を広げて考えると、中学校の数は約9000、全国市区町村は約1900、保健所は約470。

せめて少なくとも保健所の単位の470か所位がんばれば、「全国障害者とともに歩む兄弟姉妹の会」の考える理想に少し近づくかもしれない。

保健所での取り組みの情報として、京都府の中丹東保健所では、地域の支援団体の方と協働して、きょうだいが主役の遊びのプログラム等を実践している。その地域で活動している支援団体の方と一緒にやることがミソだと思う。

 

・「仲間にめぐり会えるように」

近い境遇にあるきょうだい同士がすぐ出会えるのが良いに越したことにはないが、なかなか難しいかもしれない。

視点を変えて、きょうだいではないけど、「きょうだいと共にいたい人」を仲間と言ってよいのであれば、めぐり合える機会は増えるのではないかと思う。

きょうだいがこの人だったら一緒にいたいと思う人、きょうだいにとって安心できる場や機会が増えれば、少し理想に近づくと思う。

「仲間の多い社会」を実現させたいという思いから、来年の4月10日に「日本きょうだい福祉協議会」を立ち上げる予定で準備をしている。

◆クロストークでは、チャットに寄せられた質問にも回答いただきました。



〇現在、きょうだい支援の団体がない地域において、何か始めたいときにはまず第一歩として何をするとよいか?

・滝島:まず仲間と繋がることが重要。SHAMS立ち上げ時には病院や療育センター、親の  会に話を聞いて、ニーズがあること、意識はあるけどなかなかできない状況にあることが分かった。先輩団体に教えていただいたり協力し合ったりしながら今に至っている。また、思いを持っていてもボランティアで運営するには限界もあるので、地域の仲間とともに何ができるかを検討し、きょうだいが集える場が年に一度でもあることは価値あることだと思う。地域に支援の場があること、存在そのもので救われるきょうだいの方もいるはず。

・沖:活動していくには本当にたくさんのエネルギーが必要。立ち上げの段階と、その後、継続させるという意味でも、同じ思いで繋がれる人とどれだけ知り合えるか、巻き込めるかにかかっている。

大人のきょうだいは4人が集まってランチ会を開けばきょうだい会になる。それくらい参加募集のプレッシャーが下げられることも大切。

・三平:地域で数人メンバーが集まったら、先を行く団体の方とコラボするのが良いと思う。地元千葉でしぶたねさんの講演会を企画したところ、隣県からも参加があり大盛況だった。コラボする文化が根付いて、他の地域からも応援に行くのが当たり前になると良い。すでに先を行っている滝島さん、沖さんもあちこちで呼ばれて大変だと思うが、どうか力を貸していただければ。

・藤木:皆さんのお話をうかがって、きょうだい支援したいという大人同士も繋がることが大事だと感じた。本日の登壇者の皆さんが関わるきょうだい関連のイベントは、どなたでも参加可能なものも多い。また、三平先生がまとめてくださった「きょうだい児支援取り組み事例集」はネット上で見られるので、そこからお近くの方や繋がりたい方に連絡もできる。


 

〇看護師として、入院中の子どものきょうだいと関わりたいと思っているが、コロナ禍のため直接関わる機会が少ない。「あなたのことを思っている、心配している大人がいるよ」と繋がるためにどんなことができるか?医療者の立場で取り組まれている方がいたら共有したい。

・滝島:オンラインのツールをうまく使うのは一つの手だと思う。また、私たちは活動の案内とともに必ずお手紙を送っている。病児のお子さんとともに、きょうだいにもメッセージが添えられたカードをずっと大事に持っていると聞くこともある。アナログとデジタルのツールをうまく活用すると、気持ちを届ける方法はいくつもあると思う。

・三平:クリニックはその地域の子ども達を網羅的に診るので、きょうだいのことも良く見ている。例えば、生後間もない赤ちゃんを診る時に上のお子さんにも名前を呼んで話しかけると自分も注目されたと感じてもらえるし、小さなお子さんなら抱っこするなどして、満足したり安心したりする場を少しでも提供できると良いと思っている。きょうだいにもちょっと視線を集めて、声をかけるのが当たり前になるといいなと思う。

・藤木:病院の方がきょうだいの名前等をカルテに書いてくださっているとか、退院時にきょうだいにも卒業証書を授与する病院があると聞いたことがあり、大変嬉しく思った。

・看護師の方からチャットで: LINEのビデオ面会を取り入れたことで、短時間だが保護者だけでなく、きょうだい児も一緒にコミュニケーションを取ることができるようになってきている。




〇最後に

・沖: まずは、一人ひとりのきょうだいがどう思っているのかというところに焦点を当てて欲しい。きょうだい支援が広まってほしいと思う一方で、みんながきょうだい会に行けばいいというわけでもなく、それぞれの思いが複雑に絡み合っているので、できる事としては知ろうと思うことや、情報を渡すことにとどまるのかなとも思う。

チャットに「保護者の役割をしているきょうだいがいて、共依存のような関係になっているのかなと感じることがある」と書いていただいて、一人思い浮かぶ方がいた。兄弟を見るのが私の使命とおっしゃって、ずっと頑張っていた。「あなたの人生を生きて欲しい」と伝えたいけど言葉にしてはいけないと思いながら交流を続けた。久しぶりに会った時に別人のように表情が変わっていて、「一人暮らしをしている」と話してくださった。自分の価値観の押し付けをしなくてよかったと安堵した。

1人でその人を支えようとすると、時にやりすぎてしまったり、土足で踏み込んでしまったり、支援は時に暴力性をはらむと、ここ最近、ヤングケアラーのことでも、きょうだいのことでもすごく思っている。

誰と繋がっていったらその人が楽になるか、一緒にどんなことを考えていけるか、とう関わり方が良いのかも。きょうだいに向ける眼差しとしてはそういうところかなと思っている。

・三平:「支援」という言葉が重たくなることもある、というお話をうかがってしまうと、何をしたらよいものかと思い悩み、手が出なくなってしまう。自分も役に立ちたいと思う人は多いと思うが、行き過ぎてしまうことあるとなると、なかなか難しい。

今はきょうだいとしての気持ちには深入りせずに知り合いくらいにはなって、きょうだいにとって「いつか話せる人」のコマを増やしておく。今は話をしないけれども、「いつか、話したい時が来た時に話してくれればいい」というような立ち位置もありかなと思う。

・滝島:皆さんのコメントに深く共感している。既に問題を抱えているきょうだいは、家庭そのものに支援が足りていないということなので、社会的な支援が絶対的に必要だと思う。

いかに予防的に対応していくかという観点で考えると、きょうだい支援は特別なこととして考えない方が良いのかもしれないと思っている。

信頼できる大人の存在をきょうだいの周りにいかに増やせるかということが重要。保護者をはじめ、学校の先生や病院の先生など、きょうだいにとって身近な大人たちが、三平先生のような関わりをしてくださったら、きっときょうだいたちの心に残ると思う。私も弟が通っていた療育施設の先生が、私の名前を下の名前で呼んでくれて、一緒に遊んでくれた経験は、今でも心に残っている。自分のことも気にかけてもらえている、認めてもらえていると感じられること、皆さんのあたたかい眼差しが重なり合うことで、その後の精神的な安定にも繋がるのではないかと思う。

沖さんがおっしゃったように、きょうだい自身が必要だと思った時に、支え手になる人・場を思い出せるような距離感で関わりを持ち、それぞれの立場でできることを続けていくことが、今からでもできることになるのではないかと思う。

・藤木:改めてきょうだい支援に関わる立場でいろいろと考えさせられた。今回は学齢期について、自分自身を振り返るとその頃はきょうだい支援と繋がっていなかったので、こういう大人の方々と会えたら嬉しいなというふうに思いながら聞いていた。

本当に小さなことから、ちょっと検索していただくとか、きょうだい児への接し方がちょっとだけ変わるとか、そんなきっかけになったらすごく嬉しいなと思う。

*たくさんのご参加をありがとうございました*

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